フェイクニュースはなぜ広がるのか|正しさより感情が勝つ理由
フェイクニュースが話題になるたびに、 「なぜそんな嘘を流すのか」 「どうして信じる人がいるのか」 と感じる人は少なくありません。
普通に考えれば、 嘘の情報など広がらない方が自然です。
ですが現実には、 事実かどうかがはっきりしない情報ほど、 強い勢いで広がることがあります。
今回は、 フェイクニュースはなぜ広がるのか、 そしてそこでは何が人を動かしているのかを整理します。
フェイクニュースは「悪意だけ」で広がるわけではない
フェイクニュースと聞くと、 最初から人をだますつもりで作られたものを想像しやすくなります。
たしかに、 意図的に嘘を作り、 広げる人がいることは否定できません。
ですが実際には、 フェイクニュースは悪意だけで広がるわけではありません。
作る側にも、 信じる側にも、 広げる側にも、 それぞれ別の動機があります。
つまり、 単なる「嘘つきがいる」という話ではなく、 人がどう反応するかまで含めて広がっていくのです。
収益目的の情報は「正しいか」より「開かれるか」が優先される
フェイクニュースが生まれる理由のひとつに、 収益目的があります。
広告収入やアクセス数を目的にする場合、 何より大事なのは 「中身が正しいか」より 「見たくなるか」 です。
驚く話、 怒りを誘う話、 不安をあおる話は、 人の目を引きやすくなります。
そのため、 事実の確認よりも、 クリックされる強さの方が優先されやすくなります。
つまり、 フェイクニュースは単なる情報の問題ではなく、 注意を集めること自体が価値になる構造とも結びついています。
目立ちたい心理も、嘘を広げる力になる
フェイクニュースには、 お金だけでは説明しきれない動機もあります。
たとえば、 誰よりも先に広めたい、 すごい情報を見つけた人になりたい、 注目されたい、 影響力を持ちたい。
こうした気持ちは、 SNSの時代には特に強く働きやすくなります。
つまり、 嘘を広げる動機は 「儲けたい」だけではなく、 「目立ちたい」 「影響を与えたい」 という承認欲求にも支えられています。
その意味では、 フェイクニュースは情報の劣化というより、 人の欲望の出方とも言えます。
一番やっかいなのは「本人は本当だと思っている」場合である
フェイクニュースを考える時、 本当にやっかいなのは、 本人は嘘をついているつもりがない場合です。
自分が信じた情報を、 善意で広める人もいます。
しかも人は、 自分がもともと信じたいと思っていた内容や、 感情的に納得しやすい内容ほど、 疑わずに受け入れやすくなります。
その結果、 確認されていない情報でも、 「これは本当っぽい」 「やはりそうだったのか」 と感じた瞬間に拡散されやすくなります。
つまり、 フェイクニュースは、 わざと作る人だけでなく、 疑わずに広げる人によっても強くなります。
正しさより先に感情が動くと、情報は弱くなる
人は、 冷静に正しさを確かめてから反応するとは限りません。
むしろ、 怖い、 腹が立つ、 驚いた、 信じたくなる、 という感情が先に動くと、 情報の確認は後回しになりやすくなります。
フェイクニュースが広がりやすいのは、 まさにそこです。
内容の正確さより、 感情を強く動かす力の方が先に働くと、 情報は一気に広がります。
つまり、 フェイクニュースの問題は、 嘘があることだけではなく、 人が感情で情報を受け取ってしまいやすいことにもあります。
建前では「事実が大事」、本音では「気持ちよく信じられる情報が強い」
建前としては、 ニュースや情報は事実に基づいているべきです。
多くの人も、 表向きには 「正しい情報が大事だ」 と考えています。
ですが本音の部分では、 自分の考えに合う情報、 感情に合う情報、 気持ちよく納得できる情報の方が、 強く受け入れられやすくなります。
そのため、 正しさがある情報よりも、 信じたくなる情報の方が広がることがあります。
ここに、 フェイクニュースがなくならない大きな理由があります。
問題は「嘘の情報」だけでなく、それを支える環境である
フェイクニュースの問題を、 作る人だけの責任にしてしまうと、 少し見誤ります。
実際には、 拡散しやすい仕組み、 刺激の強い内容ほど目立つ環境、 確認より反応が先に起きやすい空気が、 それを支えています。
つまり、 嘘が悪いのは当然としても、 それが強く広がる背景には、 今の情報環境そのものの特徴があります。
フェイクニュースは、 個人の問題であると同時に、 社会全体の情報の受け取り方の問題でもあります。
まとめ
フェイクニュースは、 単に悪意ある人が作って終わるものではありません。
収益目的、 目立ちたい心理、 影響力を持ちたい気持ち、 そして本人は本当だと思って広げてしまう思い込み。 そうしたものが重なって広がっていきます。
建前としては、 情報は正しくあるべきものです。
一方で本音の部分では、 人は正しい情報よりも、 感情を強く動かす情報に引っ張られやすい面があります。
フェイクニュースを考える時に大事なのは、 嘘を流す人だけを見ることではなく、 なぜそれが信じられ、 なぜ広がってしまうのかという、 人の反応の仕組みまで見ることです。


